国指定重要無形民俗文化財 椎葉神楽(しいばかぐら)

毎年11月中旬から12月下旬にかけて行われる夜神楽。村内26地区で保存伝承されており、各地区人が総出で神楽を舞っています。神楽は、椎葉の村人にとって一年を締めくくる祭りであり、地元では「冬まつり」「年まつり」とも呼んでいます。

神楽を舞う場所は本来民家で、神楽宿と称しています。また、神楽の舞所となる御神屋(みこうや)を設け、正面に神霊を迎える高天原(たかまがはら)を立て、周囲には注連やえりものなどの飾り付けをして神楽を舞います。

演目は、33番とよく言われていますが、必ずしも一定したものではなく、20数番から40番近くまでと様々です。

神楽の特色としては、この村で今も続けられている狩猟や焼畑耕作の要素を色濃く伝えており、山の生活を表しています。猪や鹿の奉納があったり、アワや大豆などの雑穀を用いる神楽が実に多く見られます。

また唱教(しょうぎょう)と呼ばれる唱え言も貴重なもので、神楽や採物の謂われを語ります。この唱教のなかには、平安後期に歌われた歌謡も含まれています。

各地区によって舞いも衣装も太鼓のリズムも多種多様で、舞いの一つ一つが昔のままの態様を残していることから平成3年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。

臼太鼓踊り(うすだいこおどり)

臼太鼓踊りは、宮崎県一帯から熊本県にかけて踊られる風流系の太鼓踊りです。念仏芸能に源を発しているが、念仏を唱えるよりも軍記物・語り物・俗謡などを歌い、衣装に華美な飾り物を付けるのが特色です。

椎葉の臼太鼓踊りは、鳥毛というにわとりの羽で作った飾り物を背負う。鉦打ちを先頭に、関と頭の二列に分かれ、二列の踊りを「竿踊り」と呼びます。踊りは、輪踊りが一組になり、一回の踊りで二曲が演じられる。

現在、大河内・大藪・栂尾・十根川の四地区が例祭として行われ、小崎・不土野の二地区がイベントなどに合わせて踊られています。

山法師踊り(やんぼしおどり)

山法師踊りは、臼太鼓踊りの中の一演目として演じられている。内容は、源義経の東下りである安宅の関越えを題材とし、関守りである富樫左衛門と、山伏姿に身を隠し東北平泉の藤原氏のもとへ逃れようとする義経・弁慶一行との問答が交わされる。

謡曲では「安宅」、歌舞伎では「勧進帳」としてよく知られているこの演劇が、臼太鼓の中に混入して演じられるのは、椎葉村の小崎・不土野地区と、椎葉に隣接する五ヶ瀬町鞍岡の三カ所だけです。